カテゴリ:国境地帯( 8 )

ところで、VITRAはスイスの会社ですが、なぜ、ドイツのWeil am Rhein に工場を建てたのでしょう?それは、妻がドイツ人でWeil am Rhein出身であったこと、それから、山が多く平地の少ないスイスでは人件費が高いことも相まってコストが高くつくため、広い土地が安く確保でき、フランスにもスイスにも程近く流通にも都合がよい、ここWeil am Rheinに工場を建てたのだそうです。もっとも、工場を建てた当初は、ユーロ圏の存在も無く、厳しい国境線があったので、火災を起こしたときには、消防車が国境で手間取り、工場は全焼してしまったという苦い経験をさせられました。
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この地方の人々の理想的な生活というのは、アルザス(フランス)に住んで、スイスに働きに行き、ドイツでショッピングをすることなのだそうです。何故かと云うと、アルザスは家が安く街がエレガント、スイスのお給料はドイツの1.5倍、ドイツは生活必需品の物価が安いからなのです。
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安藤忠雄は、この地に会議棟を建てる話しに最初は全く興味を示さなかったそうです。そこで、VITRA社は、桜の季節に彼をここに招待し、敷地を見せたそうです。そのとき、元々サクランボ畑であったこの地は、桜の花が咲き誇り、そのあまりの美しさは彼を感動させました。そして、あの会議棟ができたわけです。安藤忠雄の会議棟も隣接する従業員宿舎からの景観を壊さないように低層に仕立てられています。
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そんな中、このヘルツオークの展示場はちょっと目障りかもしれないですね。もっとも、この建物は広告塔の役目も果たしているのでしょうけど。
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13:00から始まったガイドツアーが終ると、ちょうどお茶の時間。ヘルツオーク設計の展示棟に向います。
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解放的なテラスでお茶しましょう。でも、ここ外のテラス席にはサービスがありません。中のカフェで買い求め、自分でテラス席へ運びましょう。ケーキはドイツ風、でも、まあまあ洗練されたスタイルです。ここは、ドイツなのでドイツ風のケーキ、ドイツなのでお値段もお高くありません。スイス(バーゼル)の3分の一くらいのお値段。安心してお茶できます。
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この日は、寒かったけれど、解放的なテラスは快適。ムートンのクッションと膝かけも用意されています。
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お茶の後は、ヘルツオーク設計の展示棟を見学。ここは、無料。フランク・O・ゲーリーの美術館に展示されている椅子には座れませんが、こちらのショールームの椅子には座ることもできるので、時間が許せば見学しながら、ぜひ、寛いでいってくださいねってガイドのお姉さんの御推薦です。受付がありますが、入館は無料です。
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1階は、ミュジアムショップ。ショールームが出来る前は、美術館の右隣の建物にありました。アレッシーの石に見立てたソルト&ペッパー入れ。
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柳宗理氏のカテラリー。日本人デザイナーの作品も多くありました。
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エレベーターで最上階まで上がり、順々に降りながら見学していきます。各階は、それぞれいろいろな部屋仕様にデイスプレイされています。楽しい家庭が想像されて、夢見心地になれます。
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クリスマス前でしたので、ツリーも。
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ここで、インテリアの相談にも乗ってもらえます。
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帰る頃には、すっかり陽も傾いて、
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夜、この前を車で通りがかると、ショールームの灯りが、まるで幸せな家庭のように見えて・・・ 建設途中は、プラットホームの重ね積みのような変てこりんな建造物だなあと思いながら通ったものでしたが。
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工場の敷地から出て、フランク・O・ゲーリーの美術館の前を通り過ぎ、安藤忠雄の会議棟へ。
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安藤忠雄は、会議に来る人がこの道を通ることによって、それまでの雑念から解放され、次に来るべき会議に集中できるようにとこの道程を導きだしたそうです。この会議棟は、建築ツアーに参加しなくとも外観を見ることは可能なので、フランク・O・ゲーリーの美術館を訪れたときにも見ています。でも、ガイドのお姉さんの説明を聞きながら、実際に中を見学してみると、安藤哲学を良く理解することができ、ただ、外観を見るだけとは多いに印象が異なりました。人は、この道を通ることによって、会議への集中度を増していきます。
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会議棟のコンクリート打ち放しの壁。この写真ではわかりずらいのですが、この壁(左側中央)には3枚の桜の葉が埋め込まれています。安藤忠雄は、この建築物を造るにあたって、もともとサクランボ畑であったこの土地の桜の木を切ることを潔しとしませんでした。それは、美術館を造る際に邪魔になる木をすべて切り倒したフランク・O・ゲーリーとは対照的な姿勢でした。アメリカ人であるフランク・O・ゲーリーは、その開拓精神に乗っ取り、自らの目的のために木を切り倒すことには何の抵抗もなかったのでしょうが、日本人である安藤忠雄にとって、おそらく木は命と同じ意味を持っていたのだと思います。私たち日本人は、第2次世界大戦の敗戦と、戦後の高度成長によって民族のアインデンテイテイーを2度、喪失しました。と、同時に多くの樹木も失い、同時に木の住まいも失いました。安藤忠雄は、おそらく、そうした喪失感を持っていたのだと思います。だから、もうこれ以上、失わせてはいけない、喪失による空虚感を潔しとしなかったのだと思います。が、しかし、どうしても桜の木を3本ほど切らねばならなかった。そこで、彼は失われた桜の木のメタファとして、この3枚の葉を埋め込んだ、のだと思います。写真を写す私の影が写っているのは、御愛嬌!
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さて、内部の会議室です。外から見るのと打って変わった空間が、内部には演出されていました。前面の道路が会議中に見えないように、しかし、その向う側の自然は目に入るように会議室は設えられています。ここで、会議を持つのは、基本的にはVITRAの社員たちですが、外部からの要請に応えて、他の会社や公的な国際会議なども開かれるのだそうです。
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食堂。照明は、イサム・ノグチ。
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食堂の奥まった禅的空間。他人と交わるのに疲れたとき、ひとり思考を巡らすために設えられた空間だそうです。
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このコンクリートの壁には、穴のないブロックがあります。安忠は、均一を嫌うのだそうです。すべてがシンメトリーと云う不自然さは自然界には存在しないという理由で。
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リビング空間?
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この1階部分が食堂ですが、ここは、前に通る道路が会議室から見えないように前面コンクリートに囲まれた中庭で、中国のヤオドンのような地下空間であり、外界とは遮断された場所になっています。
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この建物は、外から見ると、ただの四角いコンクリートですが、中に入るとまるで印象が違います。
to be continued・・・
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Alvaro Siza(アルヴァロ・シーザ)1994年
この渡り廊下の上の橋は、雨が降ると自動的に降下するように設計されており、家具を隣の建物に移動させる時、雨から守ってくれます。でも、今は、壊れてしまって動かないのだそうです。可動式ってね、いろいろ問題ありますよね。
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Nicholas Grimshaw(ニコラス・グリムショー)1981/1986年 ヴィトラ本社オフィスと工場のトラック用搬出口。
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VITRAの家具は、こんなふうに運ばれていきます。
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最新作は、SANAAのロジステイックセンター、2013年竣工。隣は、VITRAの従業員の宿舎なので、住環境に威圧感を与えないよう、また、景観を損ねないよう低層に設計されています。
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このパネルによる6種類の組み合わせからなる建物です。このパネルは、この建物のためののオリジナルにして特注品だそうで、ヨーロッパ中から、SANAAの希望に沿ったパネルを作れるメーカーを捜したところたった2社しか候補がなく、そのうちのひとつに特注して作ったオリジナルなのだそうです。日本にも、こんなにオリジナルな賢い建築家がいるのですね。URLには、Factoryと書いてあるけれど、物流センターでしょ?
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この扉から中に入れてくれました。
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内部。ものすごく広いのです。IKEAみたい!
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ヨーロッパでは、普通、オフィスに白い蛍光灯は使わないのだそうです。どうしても、この蛍光灯を使いたかったSANAAのふたりは、ドイツの建築基準法を調べて違法ではないことを確認した上で、敢えてこの色の蛍光灯を使うことに決めたそうです。これって、障子を通した光の色じゃあないかって、私、思いました。私たち日本人にとっては、ごく普通の日常の色ですよね。東京では、オフィスに普通に使います。
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まだまだ、ガイドツアーは続きます。
to be continued ・・・
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2013年12月17日(火)、念願のVitraの建築ツアーに行きました。Vitra社に建っている名建築の数々は、工場の敷地内にあるため、建築ツアーに参加しないと見ることができません。この日は、2時からの英語ツアーに参加。フランク・O・ゲーリー設計の美術館(1989年)の前が集合場所。といっても、この回の参加者は私とダ~リンのふたりだけ~ 完璧プライベートツアーで、なんてラッキー!あっちの方には、大勢の団体ツアーが見えるでしょう?ここには、世界中から建築を勉強する学生さんたちが訪れます。
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美術館のチケット売場で入場券を買うとこのシールをくれるので、胸にペタッと貼ってガイドさんを待ちます。Alvaro Siza(アルヴァロ・シーザ)~ 1994年
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よじれ曲がった街灯がアートしてます。
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この可愛いお姉さんがガイドさんです。彼女は、フライブルクに住んでいるドイツ人ですが、ドイツ語の他、英語、フランス語、スペイン語を話します。私たちの前にフランス語のガイドをしてきたので、頭がまだフランス語で英語に切り替えるのに苦労してました。私がいなきゃね~、ドイツ語で楽だったのにね~ 彼女、理知的な上にとっても感じの良い人で、とっても楽しい建築ツア―を演出してくれます。帰りに日本人らしきガイドの女性も見かけましたけど、日本語もあるのかな?いや、ないでしょう・・・?
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さて、一つ目は、Buckminster Fuller ( バックミンスター・フラー)のドームテント。1915年に建造したオリジナルを2003年移築。
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モンゴルのゲルから来てる感じがするのですが、違うかな・・・?
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中では、何やらインスタレーションの準備が。ガイドのお姉さんに尋ねたら、“Vitra"は、何でも秘密裡にプロジェクトを進行させるので、私たちも聞かされていないのでわからないとのこと。多分、バーゼルの色々な場所で開かれるアートプロジェクトの一環ではないかと思われますが・・・?
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次~ Jean Prouve (ジャン・プルーヴェ)設計 1950年代にガソリンスタンドとして設計された3棟のうちの1棟をヴィトラ社の敷地内に2003年に移築。
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こんな可愛いガソリンスタンド、真似したらいいのに。ああ、素晴らしき’50年代!
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次~ Zaha Hadid (ザハ・ハディド)の消防署(1993年)。次回東京オリンピックのスタジアムは別として、私、すっごくザハが好きなんです。VITRAの最初の注文建築は、ザハが設計した消防署で、今の彼女とは随分と趣を異にしますが、とても魅力的なコンクリートの打ちっぱなしです。もっとも、シャワーブースとロッカーに境がないとか、女子トイレから出てくると平衡感覚がおかしくなるとか消防員には不評だったそうで、そのうちに近くの町に消防署ができたので、わずか2年半足らずでこの建物は使われなくなり、消防士たちは喜んだとか・・・ それから、なぜ、最初の建築物が消防署だったかというと、当時はまだ国境が厳しく、VITRAが出火したとき、国境で手間取った消防車の到着の遅れで工場が全焼したからなのだそうです。
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今は、ガランとして何もありませんが、かつてはここに消防車が並んでいました。時々、アートのインスタレーションに使いますが、前面が可動式(消防車が出動するために)になっているために、建物に気密性が欠けるため、繊細な芸術品の展示ができないのだそうです。
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右側がシャワーブースにトイレ、ロッカールームになっています。
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上記の水回り。プライベートが無く、消防士に不評だったそうです。かっこ良いけどね!
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会議室。現在の日本の変形狭小住宅の原型を私はここで見た気がします。そっくりでしょう?日本の建築家の方々、ここを見学して持って帰ったでしょう・・・?
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会議室に続くテラスから工場の敷地を見渡す。
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to be continued・・・
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真夏日のスイス、なんと35℃!!! そんな日は、ライン川に泳ぎに行きましょう!というわけで、ここは、ラインフェルデンという町。このラインフェルデンという町は、同じ名前の町がドイツ側にもスイス側にも存在します。蛇足ですが、ヴァイオリニストのアンネ・ゾフィー・ムタ―はドイツ側のラインフェルデンで生れ、幼少期を過ごしたとのこと。
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左にちょこっと見えるのが、パスポートコントロールの建物。
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ドイツ側からスイスの町へと橋を渡ります。手前がスイス。
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橋からの眺め。左がドイツ、右がスイス。左のドイツ側には特に何もないけれど、
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右側には、おとぎ話に出てくるような、小さな可愛い可愛いラインフェルデンの旧市街。
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でも、きょうは旧市街にまで足を延ばさず、橋を渡り切る手前の中洲へと
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降りることにします。何度もこの橋を渡っておりますが、そして、ここが公園になっているのは知っておりましたが、下に中洲があって降りることができるなんて、気がつかなかったなあ~!?今回、ダ~リンが教えてくれるまで・・・
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こんな風に中洲が広がっているのであります。中洲の右向い側には、ラインフェルデン⇔バーゼル間の観光船の船着き場があります。2時間くらいかかるそうです。私は、まだ、乗ったことがないので、いつか乗ってみたいと思っています。
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中洲に降りた人達が、あっ、泳いでます! 泳いでます!岸の近くは、流れもそれほど急ではなく、ちょっとビーチ(砂浜)っぽくもなっていて、子供たちに人気のスポットです。、
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向う岸のドイツ側にはレストランがあります。寒い冬の日には、ひとっこひとりいないけど、
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この日はウエディングが行われていました。こんな感じで。
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でも、ここは国境地帯、私達外国人は泳ぐ時でもパスポートを携帯する必要があります。ちょっと面倒・・・だけど、この暑さ、さあ、私達もひと泳ぎ!
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そして、Weil am Rheinは、また、国境の街でもある。VITRA DESIGN MUSEUMから車で数分行ったところに架かる橋からは、ドイツ、スイス、フランスを眼下に収めることができる。向い側は、フランスだ。
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おしゃれなフランス側には、お花の船が。
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フランス側からドイツ側を見る。左側はドイツだが、向こう岸の少し行った右手はもうスイス、バーゼルだ。向こう岸のWeil am Rheinの街には、大きなショッピングセンターがあり、多くの人で賑わう。特に、物価の安いドイツには、衣料品や食料品を買いにくるフランス人やスイス人が、毎日、たくさんやってくる。
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フランス側の橋のたもとには、我ヤマハが。雄姿をパチリ!
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ドイツ側の橋のたもとの公園では、ドイツの子供たちがサッカーをしていた。
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今回、Panda Travelがご案内するのは、得意のアート分野、VITRA DESIGN MUSEUM。WASSER SCHLOSSがある山間の町INZLINGENを抜けると、WEIL AM RHEINというドイツとスイスとの国境の街に出ます。ここに、世界に名立たる家具の会社VITRAの本社が、ドイツとスイスにまたがる格好で点在しています。社屋の前には、巨大なレンチと金鎚。また、街中の至るところにも、VITRA社の誇る椅子が巨大な形で展示されていたりします。
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人と比べて頂けると、レンチと金鎚の巨大さがおわかりになると思います。後ろは、有名な安藤忠雄の会議棟。
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こちらは、フランク・オー・ゲイリー設計、やはり有名な建築で来訪者用美術館になっています。
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裏側も、こんなに複雑で面白い。
ここの建築ツアーは、大変有名で世界中から建築を勉強している若者が見学に訪れます。この日も、大勢の若者がぞろぞろ列になって見学していました。私達は、勝手に見て回ろうとしたのですが、外から見ることができるのは、安忠の会議棟とフランク・オー・ゲイリーの美術館のみ。他は、ゲートの中の敷地内にあるので、1日に2回行われる建築ツアーに参加しないと見ることができません。ゲートの中には、ニコラス・グリムショーの本社オフィス工場、バックミンスターフラーのドームテントなど、世界に名立たる建築家の有名な建築物が建っています。
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というわけで、この日は、美術館鑑賞のみ。この日の展示は、VITRAの得意とする50年代の椅子のコレクション。みなさん、よくご存じの椅子もあるかと思います。
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スイスやドイツでは、50年代に、すでにもうこうした椅子がスタンダードだったんですね。いかに日本が後進国であったか、また、今でも西洋的デザイン面では遅れているかがおわかりいただけるかと思います。
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ミュジーアムショップでは、こんな時計も買うことができます。でも、すごく高い!
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